健康寿命の延伸

社会課題と目指す姿

日本は、医療の進展による生命寿命の延伸により世界一の長寿国となっている一方で、健康寿命の延伸が追いついておらず、生命寿命と健康寿命のギャップが拡大しています。また、超高齢化社会を迎えるなかで、国民医療費総額が毎年1兆円を超えるペースで増加を続けており、国民皆保険制度のもと、健康保険組合などの保険者の財政がひっ迫していることが社会課題となっています。
国民皆保険制度や他国に比べて相対的に充実している医療源へのアクセスなどを背景に、日本では、病気の発症や重症化リスクが高まってから医療機関にかかる傾向があります。病気はひとたび重症化すると、その治療にかかる医療費は大きく膨らんでいくのが一般的です。当社グループでは、発症後の医療費を経済面から保障するだけではなく、未病の段階から健康維持をサポートすることで健康寿命の延伸に取り組み、お客さま一人ひとりの将来にわたるwell-being向上に貢献していきます。

当期の取組みと成果

現状の社会課題を踏まえ、2021年4月から当社グループとみずほフィナンシャルグループがタッグを組み、健康保険組合向けの医療費適正化支援サービス「Healstep(ヘルステップ)®」を開始しました。
「Healstep®」は大きく4つのサービスで構成されています。①将来医療費予測モデル(AIエンジン)で将来の疾病リスクと医療費を可視化し、②これらのデータに基づいた対応方針を策定。さらに、③サービス事業者と連携して保健指導などをオンラインで対応できるように支援し、④組合員向けの健康増進アプリ「QOLism」を通じて、運動や食事、メンタルヘルスといった、一人ひとりの健康増進に役立つ幅広いコンテンツをご提供しています。
2021年12月に実施された厚生労働省主催の「データヘルス・予防サービス見本市」では、来場された健康保険組合・自治体・企業などの皆さまからご支持いただき、2020年度の優秀賞に続き、最優秀賞(出展33サービスのうち1位)を受賞するなど、外部からの高い評価をいただいています。
2021年度は複数の健康保険組合にサービスを導入いただきましたが、お客さまのご要望をうかがうなかで、想定以上に個別の課題を抱えており、健康無関心層の方を行動変容に促す取組みや、企業とのコラボヘルスの推進などに苦労されているといったお声を多くいただきました。このようなご意見をサービスの改善点として進化させていくとともに、サービス導入後も取組みの実効性を高めるためにお客さまのニーズに寄り添ったサポートに努めています。

健康増進アプリQOLismの契約数とユーザーID数 健康増進アプリ_QOLism

中長期に向けた取組み

生命寿命と健康寿命のギャップ拡大や医療費の増加といった社会課題の解決には、人々の「健康増進」に加え、「発症前予防や重症化予防」の取組みが重要であると考えています。
これからは、例えば将来のリスクをご本人に早めに認識していただき、自身による予防対策もしくは予防医療として適切な医療機関に簡単にアクセスできるシームレスなプラットフォームをご提供することを検討しています。また、健康保険組合だけでなく、より幅広いお客さまへのサービスのご提供を通じ、お客さまのご意見・ご要望を反映しながらサービスの進化に努めていきます。
コロナ禍によって、健康・医療領域でもオンライン化やデジタル化が大きく進み、クリニックなどの地域医療は、重症化前の早期の診断・治療の重要な役割を担っていくことになります。このような世の中の変化に対応すべく、さまざまなヘルスケア分野の企業とも協業しながら、「対面」と「デジタル」を通じて「健康増進」から「発症前予防・重症化予防」までをワンストップでサポートしていきます。

医療費適正化支援サービス_Healstep 健康医療領域における取組み

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