社会課題と目指す姿
人生100年時代といわれるように日本では長寿化が進展しています。そのようななかで、資産寿命(預金や年金などの金融資産が枯渇する年齢)が生命寿命に届かないリスクなどから、人々の老後資金に対する不安が高まっており、自助努力による老後の資産形成や資産寿命の延伸が社会課題となっています。
また、老後の生活資金を不安視している人が約7割いるといわれるなかでも、資産運用の経験がある人は2~3割にとどまっています。日本においては個人金融資産の過半を銀行預金が占めていることなどを背景に、資産運用や資産形成に取り組む機会が少ないといわれています。さらに、正しくお金と付き合うための金融リテラシー(金融や経済に関する知識や判断力)を学ぶ機会や方法も十分ではないといわれます。
当社グループでは一生涯のパートナーとして、自助努力による老後の資産形成や資産寿命の延伸について、お客さまのニーズをとことん追求し、一人ひとりのニーズに沿った最適なソリューションを提供することを目指していきます。
当期の取組みと成果
当社グループでは、若年層における資産形成、中・高年齢世代の資産寿命の延伸や次世代への資産承継など、お客さまのライフステージごとのニーズをサポートできる商品・サービスの充実を目指しています。第一生命の個人向け貯蓄・投信事業や団体年金事業、銀行窓販トップシェアブランドの第一フロンティア生命による窓販事業など、それぞれが資産形成・承継に関わる事業を展開してきた体制から、それぞれの事業が持つ強みをグループ総合力として結集、発揮できる体制に移行しました。
具体的取組みとして、企業型確定拠出年金(DC)のご加入者さま向けにスマートフォンアプリ「DCのサプリ」を提供しており、年金資産の見える化、ロボットアドバイザー機能を搭載したリスク属性ごとの資産配分の例示などを通じて投資教育や老後資産形成を支援しています。2022年度からは、iDeCoのお客さまにもご利用いただけるようにサービスを拡充しました。公的年金・企業年金なども含めた老後の収入・支出を見える化する「年金ダッシュボード(未来設計ボード)」のほか、保険以外のサービスを組合わせたデジタルツールの拡充も企画しており、お客さまの資産形成や資産寿命の延伸を一層サポートしていきます。
個人向け貯蓄性商品を取り扱う第一フロンティア生命では、元本割れリスクを抑制しながら運用成果に応じて将来の受取額の増加が期待できるタイプの個人年金保険の販売が好調に推移しております。また、中長期にわたる定期的な積み立てを通じて資産形成を行いたいというニーズに応えるべく、主に若年層・現役世代向けの貯蓄性商品として、平準払外貨建個人年金保険「外貨建つみたて個人年金」を開発し、第一生命の生涯設計デザイナーを通して販売を開始しています。

中長期に向けた取組み
資産形成・承継領域におけるお客さまの多様化するニーズ・価値観などに応えていくためにも、「商品の拡充」、「お客さまとのデジタル接点の強化」、「コンサルティング機能の高度化」に取り組み、お客さま目線で利便性の高いサービスを展開していくことが重要だと考えています。
第一生命やアセットマネジメントOneなどがこれまでの歴史のなかで培ってきた中長期の運用ノウハウや貯蓄性商品の開発力の活用に加え、2022年度に新たに立ち上げる運用会社の専門性・機動性を活かし、お客さまの資産形成・承継に資する商品ラインアップの強化を図っていきます。
また、個人向けサービスのデジタル化は日々加速しており、お客さまに日常的にご利用いただけるような魅力的なデジタルプラットフォームの構築が不可欠と考えています。デジタル領域で実績のある外部のサービス・機能を活用し、ライフプランシミュレーションツールや独自のデジタルコンテンツなどを融合したサービスをお客さまに提供していきます。
さらに、特に資産運用や資産承継のニーズが高まるリタイアメント期以降のお客さまに対するコンサルティングサービスの磨きこみも重要な課題と考えています。お客さまのメリットを最優先に考え、ニーズに的確に対応した付加価値あるコンサルティングができる人財の育成・教育を進めています。
資産形成・承継領域において新たな取組みに積極的にチャレンジすることで、これまでの主軸であった「保障」に加え、「資産形成・承継」からのCXも大きく充実させ、お客さまの日常のwell-beingの実現や社会課題の解決を目指します。

