持続可能な社会に向けて第一生命に求められる役割とは

少子高齢化や環境保護等、さまざまな社会課題がある中で、第一生命の取り組みに対して評価をしていただくとともに、今後求められる役割について、小宮山宏氏からご意見をいただきました。

株式会社三菱総合研究所 理事長 プラチナ構想ネットワーク 会長 小宮山 宏 氏

開催概要

テーマ 持続可能な社会に向けて第一生命に求められる役割とは
社外ステークホルダー 株式会社三菱総合研究所 理事長/プラチナ構想ネットワーク 会長
小宮山 宏 氏
当社からの参加者 DSR推進室 兼 人事部 部長 銭谷 美幸
  • 社名、従業員および外部の方の所属・役職は当時のものです

これからの時代の中で生命保険に求められる役割

少子高齢化が進み、社会構造が変化する中で、人々のライフスタイルも多様になり、またそれと同時に病気についても多様になってきたと感じています。過去を振り返ってみると、例えば昭和の初期の死因はほとんどが感染病でしたが、現在ではがん・脳卒中・心筋梗塞等多岐にわたります。さらには、その病気の原因も感染病であれば細菌、というように特定でき、それに対する治療方法も抗生物質の投与と明確なものでしたが、病気が多様になったため、原因もその治療方法も複雑になりました。そして治療方法が複雑になった結果、場合によっては高額な治療費がかかり、社会保障だけでは補うことはできないケースも増えてきました。
このような時代の変化において重要となってくるのが、予防医療です。大病を患うリスクを事前に防ぐことにより、個人の負担も、社会保障制度への負担も軽減することができます。しかし、この予防医療へ関心を持たせ、それに関する知識を個々人で収集することは、非常に難しい課題だといえます。

この状況の中で、生命保険会社に求められる役割は、社会保障制度ではカバーしきれない部分への保障提供はもちろんのこと、予防医療を一人ひとりへ意識させるための情報提供ではないかと考えます。第一生命では、さまざまながんに関する啓発セミナーの実施等、病気予防の情報提供に取り組んでいますが、今後も継続していただきたいと考えます。また、ただ継続するだけでなく、今後の医療変化に対して迅速かつ柔軟に対応できるよう、長期的な視点に立って事業を進めていただきたいと考えます。

ダイバーシティ推進と少子化問題

日本国内においても、最近では「ダイバーシティ」「女性の活躍推進」が浸透しつつあります。しかし、欧米の先進諸国と比較するとまだまだ遅れています。例えば、女性の上位職登用について、第一生命では18.2%と高いことは評価できますが、女性役員は社外取締役の1人ということで、まだまだ取り組みの余地があると思います。
しかしこの女性の活躍推進をさらに浸透させるためには女性が働きやすい職場だけでなく、女性が働きやすい社会を作る必要があります。それはつまり、子どもを持つことが良いことだと思える社会、子どもを持った人が幸せに生活できる社会を作ることです。
その女性の働きやすさの障害の一つが待機児童問題といえます。最近では保育所誘致に積極的に取り組む地方自治体が増え、素晴らしいと感じています。第一生命でも、保有不動産を活用した保育所誘致を行っていますが、このような取り組みについても高く評価できると思います。今後も引き続き模範として活動を継続していただきたいと考えます。
また少子化を背景に、教育においても課題が出てきています。昔は1つの家庭に多くの子どもがいて、1つの社会を形成し、家庭内で社会の仕組みを学ぶことができました。しかし、最近では核家族化が進み、子どもたちは学校の中でしか学ぶことができない状況です。そのため学校に求められる役割は今まで以上に多くなっていますが、教育現場での経験が中心の学校職員だけでは、これらのニーズへ対応することは難しいと思います。ここに民間企業の役割があると思います。民間企業の従業員は学校職員ができない多くの経験をしています。例えば金融の専門知識や、海外業務・お客さま対応の経験等、子どもたちだけでなく、学校職員に対しても付加価値を提供することができると考えます。

機関投資家としての社会的責任

持続可能な社会を形成していくためには、長期の視点に立つことが大切です。生命保険という長期間にわたる商品を提供している第一生命だからこそ、機関投資家として長期的視点での運用ができると考えます。そういった観点からメガソーラーや再生エネルギー事業等への投融資は、社会、そして地球環境の持続可能性を高める良い取り組みだといえるでしょう。契約者に対して確実に保険金・給付金を支払うための運用ルールや法規制等もありますが、バランスを保ちつつ、積極的にこういった社会の持続可能性を高める分野にも取り組んでいただきたいと思います。
また、社会の持続可能性を高めるためには、経済主体となる企業の多様性を高めることが欠かせません。そのために第一生命ができることは、例えば、社会発展に貢献できる新たな事業活動を行う企業へ投融資を行い、その企業の成長を支援するなどの手段もあるかと思います。このように、機関投資家として社会的責任を果たすべく、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

ご意見を受けて

DSR推進室 兼 人事部部長
銭谷美幸

第一生命グループのこれまでの取り組みを評価いただきましたが、社会の持続的な発展のために、一企業市民として当社グループが取り組むべき課題はまだ多くあることを改めて認識しました。少子高齢化という社会課題については、生命保険業として今後の医療の発展に合わせた保障の提供だけでなく、予防医療のための情報提供をこれまで以上に強力に取り組んでいく必要があると感じました。少子化にかかわる社会課題に関しては、教育面における取り組みが求められていることを認識しました。そして、機関投資家としても、果たすべき責任が多く存在します。当社グループでは、お客さまへ安定して保険金・給付金を確実にお支払いするということを第一義に取り組んでまいりましたが、その姿勢を保ちつつ、今後は社会課題解決に向けての取り組みに対しても積極的に投資を行うことを検討していきたいと考えます。

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