人財戦略 グローバル・ダイバーシティの推進に向けて 第一生命ホールディングス株式会社 執行役員 人事ユニット長 加納 裕之

第一生命グループでは世界7カ国、7万名の人財が活躍しています。

当社グループでは、人財の「多様性(ダイバーシティ)」をお互い「包摂(インクルージョン)」することが、持続的成長を支える源であるとの考えのもと、経営戦略のひとつとして位置づけ、性別、年齢、国籍、人種、障がいの有無、性的指向、性自認、ライフスタイルなどにかかわりなく多様な人財の活躍を推進しています。

Society5.0や第四次産業革命といわれるように、今までにない急激なスピードでグローバルに変化が起こる現代社会において、その変化に従来以上に俊敏に対応し、第一生命グループが成長していくためには、この7万名の多様な個性・強みを活かし、さらにグローバルベースでダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいくことが重要となります。

グローバル・ダイバーシティ推進の取組みとして、例えば、海外グループ会社の人財交流を加速させ、各社それぞれの異なる強み、課題をうまくマッチングさせ、共有したノウハウを目に見える形で各社の課題解決や成長力強化に結び付けるグローバル・マネジメント・カンファレンス(GMC)やグローバル・タレント・エクスチェンジ(G-TEX)などを定期的に開催しています。

また、ジェンダー・ダイバーシティの推進に向けて、例えば第一生命では、社員の多くを占める女性が力を最大限発揮できるよう人財育成に取り組み、特に女性リーダー育成に向け、職位階層別の研修を体系的に実施しています。

「共に尊重し、共に学びあい、共に成長する」
我々は、これからも第一生命グループ全体で多様な個性が輝き、シナジー効果により新たな価値を生み出す「価値創造シナジー」を発揮できる環境を築くことで、さらなる変革への挑戦を続けていきます。

グローバル人財の育成に向けて

Part 01マネジメント層の事例共有

海外グループ各社のマネジメント層が集い、好事例の共有や課題についての議論を行うグローバル・マネジメント・カンファレンス(GMC)を定期的に開催しています。GMCでは、営業チャネルや商品戦略、リスク管理など多様なテーマを取り上げ、地域を越えて役員・社員同士の相互理解を促すとともに、グループシナジーの創出に向けた企業風土の醸成を進めています。2017年度で5年目を迎えるGMCには、これまで延べ400名が参加しており、重要な会議体であるとともに、グループ各社幹部層の貴重な育成機会にもなっています。

2017年度のGMC運営方針

GMC
  • マネジメント層の好事例共有、シナジー創出の場として、2017年度も継続実施
RMC
  • エリア特性に応じたより個別具体的な課題解決・推進の場として、2016年度に続き継続実施
    (アジアパシフィック地域統括会社主導により、アジア新興国を中心に開催)

※RMC:Regional Management Conference

Part 02グループ人財の交流

海外グループ会社の支援ニーズを踏まえた第一生命からの専門人財派遣にとどまらず、海外グループ各社の人財を第一生命の各部門で短期間受け入れるグローバル・タレント・エクスチェンジ(G-TEX)を実施しています。語学力や異文化理解の強化を含めたG-TEXプログラムを通じて、グローバルに活躍できる人財の育成とネットワーキングに注力するとともに、第一生命と他グループ会社が互いの取組み・機能への理解を深め、自社の取組改善に活かしています。

多様な人財の活躍に向けて

Part 01女性の活躍推進

第一生命グループでは、グローバルベースでの企業価値向上を追求し、経営リーダーを担える人財の育成を目標に、次世代リーダーの育成に取り組んでいます。なかでも、社員の多くを占める女性社員の活躍推進は大きなテーマであり、役員がメンターなどとして女性リーダー育成に取り組んでいるほか、女性管理職が次世代の女性管理職候補者の育成を担うなど、総力を挙げて取り組んでいます。

次世代女性リーダーの育成体系

次世代女性リーダーの育成体系

女性管理職比率/数

  2015年
4月
2016年
4月
2017年
4月
女性管理職比率 22.5% 23.3% 24.2%
女性管理職数 808名 836名 873名

※2015年4月および2016年4月は国内生保3社(第一生命・第一フロンティア生命・ネオファースト生命)、2017年4月は当社および国内生保3社の数値。

Part 02ワーク・ライフ・バランスの実現

第一生命グループは、ファミリーフレンドリー制度(両立支援策)の充実と、ワークスタイルの変革に向けた取組みを2本柱として、ワーク・ライフ・バランスを推進しています。第一生命においては、2016年度の男性社員の育児休業取得率は77.1%となりました。また、在宅勤務が可能な業務が一定程度を占める社員が柔軟な働き方ができるよう在宅勤務制度を取り入れており、2017年4月時点で約400名が活用しています。

Part 03“活人力”の強化

多様な人財がそれぞれの個性を発揮し、活躍できる組織となるためには、組織のコミュニケーションを活性化させ、個性を活かし育てるマネジメント層の“活人力”が欠かせません。第一生命グループでは、部長・支社長を対象に研修を実施するとともに、『「活かすボス」心得12か条』をまとめ、管理職に意識と行動の変化を促しています。

第一生命グループ 「活かすボス」 心得12か条

  1. 組織の範として、自身の高潔性と、幅広い教養、温かい心を高める不断の努力を続けている
  2. 一人ひとりに、最良の組織ビジョンを自身の言葉で語りかけ、共有している
  3. 環境変化や多様性を受け入れ、組織の価値創造・変革にむけて率先して行動している
  4. 一人ひとりの個性を見出し、器量やなりたい姿を理解し、自発的な成長を支援している
  5. 成長を信じ、リスクを恐れず役割を与え、最後までメンバーを守る覚悟をしている
  6. 任せたからには、過度な干渉はせず、小過を許し、辛抱強く見守っている
  7. 明るく、よく笑い、メンバーの健康と生活を常に思いやり、感謝の言葉を惜しまない
  8. 一人ひとりの思いに耳を傾け、異なる意見を尊重し、自由に言い合えるようにしている
  9. すぐに正解を教えることなく、問いかけ、質問し、振り返るための対話を重ねている
  10. よい点を見つけたらすぐ褒め、一人ひとりに『育成されている』充実感を与えている
  11. 『叱る』と『怒る』の違いを理解し、人前では叱らない、むやみに怒らない
  12. えこひいきせず、公平に愛情と熱意をもって指導を行い、客観的にフィードバックしている

Part 04ノーマライゼーションの実現

障がい者の積極的な採用を進めるとともに、働きやすい環境整備に取り組んでいます。第一生命グループの2017年6月時点での障がい者雇用率は2.22%で、全国で987名が活躍しています。こうした取組みの一環として、第一生命では「障がい者職業生活相談窓口」を設置し、働く上での悩みや不安への相談体制を整備しています。さらに、第一生命グループの特例子会社である第一生命チャレンジドでは、清掃、印刷、喫茶などの幅広い業務を展開しており、それらの業務を知的障がい者や精神障がい者を中心とする社員が担っています。また、同社では障がいの有無にかかわらず、業務の品質向上につながる資格の取得を支援しています。喫茶業務に従事する社員のなかには、バリスタ資格を取得し、その技術を業務に活かしている社員もいます。