第一生命は、約3.5兆円の国内株式を運用する機関投資家として、投資先企業との対話活動と議決権行使を両輪とするスチュワードシップ活動に積極的に取り組んでいます。スチュワードシップ活動を通じて、投資先企業の持続的成長を促すことにより、中長期的な株式投資リターンの拡大を目指します。
2017年度、スチュワードシップ活動の体制をさらに強化しました
第一生命(以下、当社という)は、生命保険会社の資金特性を勘案し、機関投資家としての社会的責任を踏まえた投資(責任投資)を従前より推進してきました。当社の責任投資は、持続的な企業価値向上を目指す「スチュワードシップ活動」と、資金供給を通じた社会課題解決と収益性の両立を目指す「責任投資※」を柱としています。
2017年度には、スチュワードシップ活動の専担組織である「責任投資推進室」と、スチュワードシップ活動に係る重要な方針などを審議・確認する「責任投資委員会」を新設しました。
スチュワードシップ活動には、各業種固有の知識や財務分析を行うスキルだけでなく、コーポレートガバナンスに関する知識・経験が求められると考えています。そのため責任投資推進室は、株式アナリスト経験者や幅広い業種に精通するベンチャー投資経験者、コーポレートガバナンスに深い見識を持つ社外取締役経験者が中心となって構成されています。
また、責任投資委員会は委員の半数以上を社外有識者としており、スチュワードシップ活動に係る方針・規程や重要議案の賛否判断などについて審議・確認することで、スチュワードシップ活動の実効性向上につなげていく方針です。
※責任投資:環境・社会・コーポレートガバナンス(ESG)に関する要素を考慮した投資手法。
スチュワードシップ活動の進展
- 2014年5月
- 日本版スチュワードシップ・コードへの賛同を表明
- 2015年11月
- 国連責任投資原則(PRI)に署名
- 2017年4月
- 責任投資推進室、責任投資委員会を設置
- 2017年5月
- 改訂版スチュワードシップ・コードへの取組方針を策定・公表(すべての原則・指針をコンプライ)
- 2017年7月
- 責任投資委員会に社外委員2名を選任
スチュワードシップ活動の推進体制
建設的な「目的をもった対話」を推進しています
当社のスチュワードシップ活動においては、投資先の企業価値向上や持続的成長を支援する観点から、特に建設的な「目的をもった対話」を重視しています。
対話活動のテーマは「コーポレートガバナンスの強化」「業績・資本効率の持続的な向上」「株主還元の充実」が中心であり、主に投資先企業の財務担当もしくは経営戦略担当の役員と対話を実施しています。対話を実施した企業のなかには、独立社外取締役の複数選任、不採算事業や子会社の再構築、資本政策の開示など、企業価値向上に繋がる施策を実施するケースが出てきています。
建設的な「目的をもった対話」の実施率
2015年度 | 2016年度 | |
---|---|---|
社数ベース | 21% | 24% |
保有時価ベース | 62% | 82% |
先方出席者の役職
2015年度 | 2016年度 | |
---|---|---|
取締役・執行役員 | 60% | 70% |
部長など | 40% | 30% |
中長期的な企業価値向上の観点から議決権を行使しています
議決権行使にあたって、短期的な業績・株価などに基づく外形的・画一的な判断ではなく、投資先企業との対話内容などを踏まえた上で、中長期的な株式価値の維持・向上の観点から個別に賛否を判断しています。ただし、コーポレートガバナンスに関する重要な枠組みについては、一律の基準に基づいて判断しており、例えば長期在任の監査役選任議案には反対しています。
また、議決権行使結果の透明性を高めるため、議決権行使基準を開示したほか、2017年度より個別の投資先企業・議案ごとに行使結果の開示も開始します。
今後も、責任ある機関投資家として、スチュワードシップ活動を積極的に推進することで、投資先企業の持続的な成長を促し、中長期的な株式投資リターンを高めていくと同時に、株式市場のさらなる活性化に貢献できるよう努めていきます。