資本政策・ERM

規律ある資本配賦を
通じて、
資本水準の確保・
資本効率の向上を
図り、
持続的な
企業価値の向上を
目指します。

経営企画ユニット担当 常務執行役員
山本 辰三郎

資本政策の考え方

第一生命グループでは、エンタープライズ・リスク・マネジメント(ERM)に取り組んでいます。ERMとは、リスクを適正にコントロールし健全性確保を図る一方で、より高い利益が見込める事業などに資本を配賦していくことで資本効率・企業価値向上を実現する取組みです。
2017年度は、国内外で金融経済環境の改善などがあったものの、国内のマイナス金利政策に伴う低金利環境の継続や世界的な地政学リスクの高まりなど逆風もありました。また、先端技術の発展に伴う新たな価値創造に向けたグローバルな競争の激化、異業種による保険事業の進出など、当社グループを取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。
このような変化の激しい時代だからこそ、ERMの枠組みに基づく取組みをより一層強化し、規律ある資本配賦を通じた資本水準の確保・資本効率向上を図ることで、持続的な企業価値の向上を目指していきます。また、グローバルに活動する保険会社に対する新たな資本規制が検討されていることも踏まえ、引き続き財務健全性の維持・向上に取り組んでいきます。

資本効率の向上

当社グループは、グループ資本コスト以上の資本効率を目指し、中長期的に平均8%以上のEV成長(RoEV)を目指しています。
2017年度は、新契約価値の積み増しや第一生命を中心にデリバティブを活用した金利リスクの削減などに取り組んだことに加え、InsTech分野への投資やプロテクティブによる米国の個人保険・年金の既契約ブロックの買収など、資本コストを踏まえた適切な資本配賦を実践しています。
こういった取組みを積み重ねた結果、2010年3月末のグループEEVを起点として、2018年3月末までの上場来の8年間のEVの変動率は年率換算の平均値で11.5%となり、中長期的に目指す姿である8%以上を達成しています。

ERM取組みを通じた資本効率・企業価値向上

図:ERM取組みを通じた資本効率・企業価値向上

財務健全性の維持・向上

当社グループでは、経済価値ベース、会計ベースおよび規制ベースで、各種リスクを統合し自己資本などと対比することなどにより、健全性をコントロールしています。
2017年度は、健全性の向上に向け、事業活動を通じた利益の積上げによる資本水準の向上やリスク性資産のコントロールなどに取り組みました。
加えて、現在、グローバルに活動する保険会社に対する新たな資本規制が検討されていることも踏まえ、継続的にリスク管理指標を高度化しています。
国際資本規制導入までの時間的猶予も活用し、規律あるリスクコントロールを通じ、中長期的な時間軸で経済価値ベースの資本充足率(ESR)が安定的に170〜200%の範囲内で推移することを目指していきます。

当社グループの資本基盤

グラフ:当社グループの資本基盤

当社グループの資本充足率(ESR)の状況

グラフ:当社グループの資本充足率(ESR)の状況

株主還元方針

2017年度の株主還元は、前年度比7円増配となる1株当たり50円の株主配当と、2018年5月15日に公表した自己株式取得(上限390億円)により、前中期経営計画「D-Ambitious」期間中に掲げた総還元性向を40%まで引き上げる方針を達成する見込みです。また、株主配当については5期連続増配、自己株式取得は4年連続の実施となります。
今後も、株主還元は安定的な株主配当を基本とし、グループ修正利益に対する総還元性向40%を目処としつつ、利益成長に伴う株主還元の充実を図ります。毎期の株主配当については、業績動向、市場環境、規制動向などを総合的に勘案し決定していきます。自己株式取得については、業績動向、資本の状況などを勘案しつつ実施を検討していきます。

株主還元実績

グラフ:株主還元実績